先日の「インターネット投票」に関する話を聞いて、エストニアという国に興味を持ちました。

少し調べているとAmazonで『未来型国家エストニアの挑戦 電子政府がひらく世界』(ラウル アリキヴィ (著), 前田 陽二 (著))という本を見つけたので読んでみました。

そんなエストニアのご紹介と日本のマイナンバーカードについて少々お話したいと思います。



エストニアとは


エストニアは、北欧のバルト三国のうちの一つです。

人工は130万人程度で、面積は日本の1/9程度です。

かつての旧ソビエト連邦の一部で、当時ICTの開発センターが置かれていたことから今日でもICTに力を入れている地域になります。



電子国家エストニア


エストニア国民の所得はすべて国に把握されています。

一見監視社会に思われがちですが、これによって税の申告などは自動計算された結果に目を通して電子署名をして完了、というように、ITをとても合理的に社会に適合させているのです。

さらに教育分野では「エストニア教育情報システム」ですべての学生や教育情報が管理されています。

わたしの住む地域では今からやっと県内で統一的な校務支援システムを構築するなんて話をしているのにはるか先を行ってしまっています。

また、エストニアでは大学への願書が電子化されており、会社に出す履歴書もネットで送れてしまいます

起業するのだって国外から可能で、手続きも30分もかからないそうです。

病院のカルテも電子化されており、ネット経由でどの医者でも確認することができ先生の空き状況もネットで見れてしまいます

なんだか遠い未来を感じるとともに、先進国である日本は実は時代遅れの国家だったんだということが浮き彫りになりましたね。



エストニアのマイナンバーカード「eIDカード」でできること


エストニアでは出生すると11桁の国民ID番号が付与されます。

その番号に個人情報や顔写真が付与されたものがeIDカードになります。

このカード1枚でEU国内のパスポート、運転免許証、交通機関のチケット、健康保険証、さらにはインターネット投票の投票権としても利用できます。

とてつもなく便利なカードなのです。



エストニアではデジタル世界の方が信頼されてる?


一般のエストニア人は、紙よりもデジタルの方が信用できるようです。

なぜならば、自分のデータを誰が、いつ、何の目的で参照したのか確認できるからですね。

確かに紙だと誰がいつ何の目的で自分の情報が使われたか全くわかりませんよね。

「政府の人間が裏でログ削除できるんでしょ?」というようなネガティブな考え方よりとても合理的だと言えます。

ちなみにこの機能は、日本のマイナンバーカードのマイナポータルにも実装されていますね。



日本のマイナンバーカードは失敗?


エストニアの前にフィンランドがeIDカードを作って普及させようとしたそうですが失敗に終わっています。

恐らくあまり普及させることができず、結果その実用性を国民にあまり感じてもらえなかったのでしょう。

日本もフィンランドと同じくマイナンバーカードの所持を義務化していません

一方、エストニアはeIDカードの所持を義務とし、約5年で広く国民に理解されたそうです。

そうです、無理矢理にでも持ってもらわなければせっかく新たな仕組みを作っても使ってもらえないのです。

実際、現在の日本のマイナンバーカードの所持率はたったの10%ほど。

子育て関係でマイナンバーカードが利用できるようになりましたが、あまり利用率はよくありません。

まずは国民全体が使うようなものから電子化すべきなのに、なぜそんなにマイノリティなところから始めたのでしょうか。

現在のマイナンバーカードは、政府の方針や施策が全く期待はずれな状態です。

このままではエストニアどころかフィンランドの二の舞になってしまうのではないかと危惧しています。